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シャンゼリゼ通りのカフェテラスでみかけた美しい女性。
あのときのことが今でも忘れられません。
人は思い出のなかでは生きられないもの。
それは知ってはいるけれども、あのとき彼女が何といっていたのか、
今でもふと気になってしまうことがあるのです。
フランス語は世界でも美しい言語といわれています。
音のひびき、アクセント、抑揚、そのどれをとってもアジア圏の言語とは趣きを異にするものです。
ましてや天使のように美しい女性の口からでた言葉ならなおさらのこと。
私のなかでの時間が止まった瞬間でした。
けれども、当時の私が理解できたのは英語だけ。
あのとき、彼女は何を伝えたかったのか?
今でもふとした時に考え込んでしまうのです。
「今何時ですか?」
「小銭を恵んでもらえませんか?」
「お兄さん、どこから来たの?」
どれもピンとこないようでいて、そのどれもがあてはまる。
それは今から数年前、真夏のカフェテレスでの出来事でした。